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ゴールのない旅

Life is a journey.
人生とは旅である。

昔、英語の得意な友達と、英語の“Journey”はエンディングがある旅を指すのか、ゴールがない旅を意味するのかを話し合ったことがあります。皆さんはどう思いますか?かなり昔ですが、“Never Ending Story“という映画もありましたね。英語に限らず、言葉の解釈は難しいですが、私がここで大事にしたいことは、ゴールのない旅の重要性です。

世の中は、効率重視のスピード社会。無駄なことはどんどん省いて、最短で目標達成をするのが賢いやり方だ、という雰囲気があります。確かに、特定の分野や社会においては、効率とスピードが不可欠な場面もあります。私もそんな世界で仕事をしていたこともありました。

  

しかし、“人の人生の歩み方”を考えた時、それは本当に賢い人生の歩み方と言えるのでしょうか。

「欲しいものを早く手に入れて(例えば、お金も権力も手に入れて)豊かになることが幸せへの道だ!」という人もいるでしょう。「なりたい自分に早くなって、悠々自適で自由に暮らすことが幸せだ!」という考えもあるでしょう。 しかし、陰陽思想の枠から考えてみると、その見方は、とても狭い世界の中でのお話となります。人の思考の中だけで考えた、とても視野の狭い“幸せの概念”のためにあくせくしているだけなのです。欲しいものを得るという成功ゴールを決めつけて、それ以外は失敗と見なすモノの見方には、陰または陽といった片方しか受け入れない貧しい精神が投影されています。陰陽論は、陰も陽も共存している世界。自然が教えてくれる世界はもっと壮大です。

  

私は、決して欲しいものを手に入れるという目標を持つことが悪いと言っているのではありません。「そこに愛はあるんか?」(笑!)ということを問いたいのです。貧しい精神から発動されたものではないですか。自身の寛大さ、親切さ、気品、品位、威厳、尊さといったものがそこにあるのかということです。

欲しいものを手に入れることが、本当の幸せなのだろうか?
手に入れたら、それで満ち足りるのであろうか?
または、そもそも、その“欲しい“は適切な心の声なのだろうか?
明日も明後日も、それはずっと欲しいものなのか?
それは、ずっと自分を幸せにしてくれるのだろうか?家族や友人も幸せになれるだろうか?
もう一度、見直してみることです。

  

ちなみに、“欲しい心”を満たすための外側から得た成功は、必ず失うリスクを伴います。今度は、失うかも知れないという恐怖と戦うために、次のゴールを設定するという繰り返しが起こります。幸せのループというよりは、不幸の繰り返しのように見えるのは私だけでしょうか。

人生という旅があったとしたら、毎日起きることをどれだけ感じて観ることができるかということなのではないかと思います。日々の出来事は、退屈で小さく平凡な出来事かもしれません。しかし、歯を磨く、顔を洗う、呼吸をするといった当たり前のことから、家事や仕事まで、どれだけ気づきをもたらす止観ができるかという視点は見逃せません。 ヨガで言えば、同じアーサナを繰り返し行うことで、どれだけ自分の身体に気づくことができるかということ。それは、長い道のりであることは間違い無いですね。でも、最初からゴールのない旅をしているなら、長いなどという概念はないわけです。長いと感じること自体心の欲が存在していることを表しているでしょう。資格を取ったら終わりの人、プラクティスが続かない人、一つのことにじっくり向き合わず直ぐに他のことにシフトする人などは、まさにこの罠にハマっている人たちです。

  

ちなみに、私の友人曰く、英語の“Journey”は、エンディングのない旅という意味合いを持つのだそうです。だから、人生はまさにゴールのない旅です。

渡辺純子

株式会社ジュノスタイル代表取締役。陰(いん)ヨガ指導者。
Junostyle~自分らしい自然なライフスタイルを探す旅~というコンセプトのもと、陰ヨガ、アロマセラピー、食を通して「陰(いん)のあるライフスタイル」を提案。
とくに、女性のライフスタイルのバランスを追求し、日本全国やアジアで陰ヨガのワークショップを行っている。講師養成にも積極的に取り組んでいる。
全米ヨガアライアンス認定講師・英国IFA認定アロマセラピスト。
渡辺純子のブログ:https://junostyle.jp/ownerblog/